コーポレートサイトやサービスサイトに導入事例を掲載する企業が増えています。
一方で、導入事例を制作しようとすると、構成の作り方や質問内容、見出しの付け方で悩むことが多いものです。
とくに、はじめて導入事例を担当する方からは
「どういう順番で書けば良いのかが分からない」
「インタビューで何を聞けばいいのか不安」
といった声をよく聞きます。
この記事では、導入事例の基本構成から、すぐ使える質問リスト、地の文と会話文の使い分け、よくある失敗例まで、実務で役立つ内容をまとめました。
これから導入事例の制作を始める方は、ぜひ参考にしてください。
導入事例制作で多い”つまずき”ポイント
導入事例の制作では、「文章を書き始める前」の段階でつまずくことがよくあります。
実際にリードレにも、制作担当者の方から、次のような悩みが多く寄せられます。
• そもそも課題が何だったのか聞き出せない
• 成果の数字を教えてもらえず、説得力を出しにくい
• インタビュー当日に何を聞けば良いのか迷ってしまう
• 会話は盛り上がるものの、必要な情報が揃わない
• 文章化に必要な材料が不足していて、まとめるのに時間がかかる
これらはほとんどの場合、取材の前に「聞くべき項目」が整理されていないことが原因です。
事前に準備ができていないままインタビューに入ると、話は広がるものの、事例に必要な“核となる情報”が抜けてしまうことがあります。その結果、書き始めてから何度も聞き直しが必要になったり、ストーリーが組み立てにくくなったりして、作業が長引きがちです。
導入事例をスムーズにまとめるためには、文章力よりも先に、どの情報を集めるべきかを明確にしておくことが欠かせません。
続いて、その土台となる「導入事例の基本構成」を紹介します。
【導入事例の基本構成】まずは5つの流れを押さえよう
導入事例は、どの業界でも「伝える順番」によって読みやすさが大きく変わります。
とくにBtoBでは、読者が知りたいポイントが共通しているため、次の5つの流れでまとめると理解しやすくなります。
- 1.導入前の課題
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現場で困っていたことや、解決したかった背景を明確にするパートです。
- 2.サービスを選んだ理由
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なぜそのサービスを選んだのか、比較検討の軸や決め手を整理します。
- 3.導入までのプロセス
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どのように導入が進んだかを示すことで、読み手が自社に置き換えてイメージできます。
- 4.導入後に生まれた成果
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効果を数字や具体的な変化で伝えることで、事例の説得力が高まります。
- 5.今後の活用や担当者のコメント
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継続的な活用方針や担当者の声を入れると、読み手の信頼感が増します。
この順番に沿って構成すると、導入前と導入後のギャップが明確になり、ストーリーとして自然に読めるようになります。
読み手は「自社の場合も同じ課題があるかもしれない」「導入後に得られる成果がイメージしやすい」と感じやすくなり、事例の説得力も高まります。
導入事例の作り方3ステップ
導入事例は「書く作業」が中心だと思われがちですが、実際には 準備・取材・編集 の3つをていねいに進めることで、完成時の質が決まります。
ここでは、実務でそのまま使える流れを紹介します。
取材前に「何を聞けば良いか」を整理しておくことで、当日の質問漏れを防げます。
まずは基本構成(課題 → 選定理由 → 導入 → 成果 → 今後)に沿って、聞きたい項目をまとめましょう。
準備段階で整えるべきポイントは次の3つです。
• 事例企業の概要(事業内容・業務範囲)
• 導入前の状況や抱えていた課題
• 比較検討したポイント
• 導入後に期待していた効果
こうした項目を整理しておくことで、取材当日に迷うことがなくなります。
この整理作業をスムーズにするために、リードレでは 「取材要綱テンプレート」 を用意しています。
“事前に聞いておくべき項目” が一覧になっているため、インタビューの準備が一気に楽になります。
取材では、課題(Before)と成果(After)のギャップを明確にすることが重要です。
雑談が盛り上がっても、事例に必要な “根拠” が抜けると説得力のない記事になってしまいます。
主に押さえるポイントは次の3つです。
• 課題は「誰が・どんな場面で・どれくらい困っていたか」まで具体化する
• 選定理由は「他社との違い」や「決め手」を深掘りする
• 成果は、できるだけ数字や具体的な変化で確認する
前述した取材要綱テンプレートがあると、これらを体系的に聞き出せるため、話の流れが崩れません。
材後は、集めた情報を 課題 → 選定理由 → 導入 → 成果 → 今後 の順番で整理します。
この順序でまとめると、読み手がストーリーとして自然に理解できます。
編集時に意識したいポイントは次の通りです。
• 会話文と地の文のバランスを調整し、読みやすく整える
• 見出しには結論を入れ、次を読みたくなる流れをつくる
• “事実” と “推測” を分け、誤解がないように書く
このステップを丁寧に進めることで、情報が整理され、読みやすく質の高い導入事例に仕上がります。
導入事例における「2つの文章形式」
導入事例は、文章の構成方法によって読みやすさや伝わり方が大きく変わります。
一般的には、次の2つのパターンでまとめられます。

パターン1:地の文+会話文のハイブリッド形式
地の文で状況を整理しつつ、随所に担当者の発言(会話文)を組み込む形式です。
特徴
• 読みやすく、ストーリーを整理しやすい • 要点となる部分を会話文にすることで“声のリアリティ”が出る • 伝えたい構成に合わせて情報を整理しやすい
向いているケース
パターン2:会話文のみの形式(インタビュー寄りの記事)
インタビュアーとインタビュイーの会話形式でまとめるパターンです。
特徴
• インタビューの臨場感をそのまま伝えられる
• 初めて制作する場合でもまとめやすい
• 一方で“書き起こし”っぽくなると読みにくさが出やすい
向いているケース
注意点
• 会話の流れがそのまま出てしまい、話題が散らばりやすい
• 専門用語や曖昧な表現が残るため、適度な整形が必要
どちらを選ぶべき?
とくにBtoBマーケティングでは、“課題→導入→成果” の流れを整理したい場面が多いため、①のハイブリッド形式が最も成果につながりやすいと言えます。
そのため、リードレが導入事例記事制作を代行する場合、基本的にはハイブリッド形式からご提案しています。
導入事例でよくある失敗パターン
導入事例は、一見シンプルな構成に見えるものの、実務では次のような “よくある落とし穴” にハマりやすい傾向があります。
いずれも、読み手の理解や納得感を損ね、訴求力の低下につながります。
①課題があいまいで、読み手が状況をイメージできない
「業務が大変だった」「効率化したかった」など、抽象度の高い表現だけでは、導入前の姿が伝わりません。
“誰が・どの業務で・どれくらい困っていたか” を明確にしないと、読み手が自社に置き換えて考えられなくなります。
②導入の決め手が表面的で、説得力が弱い
「使いやすそうだった」「良いツールだと思った」という表現だけでは、比較検討のポイントが伝わりません。
“他社と迷った点” “決め手になった機能や対応”まで踏み込むことで、選ばれた理由がはっきりします。
③成果が数字で示されていない
成果があいまいだと、読者は「本当に効果があったのか?」と感じてしまいます。
数字が出ない場合でも、次のような“変化”を具体的に書くと訴求力が高まります。
• 業務時間の削減
• 手戻りの減少
• 社内のコミュニケーション改善
• 営業やマーケ活動の効率化
このような内容で“変化幅”が分かるだけでも、印象が大きく変わります。
④会話文の書き起こしで読みづらくなる
雑談や冗長な説明が残ったままだと、読み手にとって負担になります。
専門用語・曖昧な表現・時系列の揺れを整えることで、読みやすさが大きく改善します。
⑤ 見出しが「課題・導入・効果」だけで終わっている
テンプレート通りの見出しだけでは、読み手が本文を読む理由を見失います。
“要点をまとめた短い結論”を見出しに入れるだけで、読み進めてもらいやすくなります。
例:
• 「日報作成に毎日1時間かかっていた業務を改善」
• 「ITリテラシーが不安な社員でも使える点が決め手」
• 「残業時間を平均2時間削減」
事例記事を読みやすくするためのポイント
導入事例は、導入企業へのインタビューをもとに制作します。
そのため、(ウェブ検索して得た情報も含めて)ライターの頭の中にある知識をもとに制作するコラムやホワイトペーパーとは少々勝手が異なります。
そこで、本項では具体例を交えながら導入事例の書き方を解説していきます。
その1:(地の文)地の文はあくまでも脇役。要点はインタビュイー自身に語ってもらう
地の文で制作する場合には、地の文と会話文のバランスが肝になります。会話文が多すぎると、会話文パターンと同じように冗長になりすぎるおそれがあります。
一方で、地の文が多すぎると、インタビュイーの発言が埋もれてしまい、導入企業の声を通して自社や自社商材の良さを伝えるという導入事例の利点が薄れてしまいます。
1つのポイントとして、地の文はあくまでも文章を読みやすくしたり、論の転換をわかりやすくしたりするための脇役ととらえた方が良いでしょう。
具体的な成果や感想など、ポイントとなる部分はインタビュイー自身の発言として取り扱いましょう。
たとえば、下のように地の文と会話文のバランスを整えるだけで、インタビュイーの発言が際立ち、訴求点がグッとわかりやすくなります。
その2:(会話文)書き起こしにならないように注意する
インタビュー時の会話は、その場の文脈を共有している前提で進むため、文章化すると伝わりづらくなることがあります。
そのため、会話文を整形するときは、次の点を意識します。
- 専門用語を読み手の言葉に置き換える
-
例:「リード・ジェネレーション」→「見込み顧客の獲得」
- 曖昧な表現を具体化する
-
例:「昨年」→「2023年」「最近」→「直近3ヶ月」
- 話題が散らばっている発言は、要点ごとに整理する
-
例:「結局、日報が溜まるのと、あと現場の入力ミスも…」
→ “日報作成の遅れ”“入力ミスの多発” に分ける
その3:課題や成果が端的にわかるようなタイトル・見出しにする
見出しは、記事全体の読みやすさを左右する重要な要素です。「課題」「導入」「成果」というテンプレート的な見出しだけでは、読者を次の文章に引っ張れません。
以下のように、要点をひと言でまとめるだけで読了率が上がります。
タイトル
リード・ジェネレーションを目的として導入事例をダウンロード資料として公開する場合、ダウンロード数を大きく左右するのがタイトルです。
そして、タイトルには具体的な数値にもとづく成果を示した方がダウンロードを獲得しやすくなります。しかし、インタビュー中に具体的な数値にもとづく成果を聞き出せないこともあるはずです。
そんな時には、インタビュー後に改めて具体的な成果についてインタビュイーに確認しましょう。
何も、インタビューだけの情報で全てを完結させることにこだわる必要はありません。
その1:AI搭載の接客ツール導入で、コンバージョン数が10倍に増加!
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見出し
見出しは、次へ次へと読者に読み進めてもらうための”架け橋”です。
そのため、読者が「もうちょっと読んでみよう」と思うような見出しにする必要があります。具体的には、「課題」「導入」「成果」の内容を端的な言葉にまとめて見出しにするのが良いでしょう。
「課題」の場合:長時間労働の原因となっていた帰社後の日報作成
「導入」の場合:いつでも、どこからでも、ITリテラシーを問わず簡単に日報を作成できることが決め手!
「成果」の場合:一人当たり平均3時間/日の残業時間削減に成功!定時退社が当たり前の職場に
導入事例制作は“準備”で8割が決まります!
導入事例は「書く力」はもちろんですが、取材前の準備と情報整理ができているかどうかで完成度が大きく変わります。
この記事で紹介した、下記のポイントを押さえておくことで、読み手にとってわかりやすく、説得力のある導入事例を作れるようになります。
• 5つの基本構成
• 3ステップの制作フロー
• 地の文・会話文の使い分け
• よくある失敗ポイント
• 見出しや会話文の整形方法
しかし、実務では
「何を聞けば良いのか整理するのが難しい」
「取材準備に時間がかかる」
「話を引き出しきれない」
と感じる方も多いはずです。
そんなときに役立つのが、リードレが提供している取材要綱テンプレートです。
【無料配布】聞くべき項目が揃う「取材要綱テンプレート」
このテンプレートには、事例制作で必要となる「聞くべき項目」がすべて整理されています。
インタビューの準備が短時間で済み、当日の質問漏れも防げます。
制作代行はリードレにお任せください
「自社で作りたいけれど、時間がない…」
「クオリティの担保が不安…」
「複数の事例をまとめて量産したい」
そんな方には、リードレが 導入事例の制作を代行 することも可能です。
300本以上の事例記事制作実績をもとに、取材、編集まで一貫対応しています。



